Bande à pierrot

ティム・バートン、テネシー・ウィリアムズ、アレハンドロ・ホドロフスキー。

【日記】アメリカ留学1ヶ月目 : 友達ができました

アメリカに来て一ヶ月と10日ほどすぎた。いろいろ観光に行った方がいいのかとも思ったけれどどうしても興味がわかなくて(笑)学校が始まるまではいつも通り映画を家で観たり映画館に行ったり、映画のロケ地をちょっとだけ回ってみたりもした。短い小説も2編ほど書いた。詩も書いた。今は書きかけの小説がまた2編。

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やっと学校も2月に始まって、アメリカ人の友達もできた。アジア系の友達、ヒスパニック系のお友達。彼女たちは学校で所属している“アート・クラブ”に私を入れてくれた。とても嬉しかった。そのクラブでは皆が思い思いに絵を描いたり、ギターを弾いたり、時には皆でZINEを作ったりするのだそうだ。魅力的だと思う。私は絵が上手なわけでも楽器が得意なわけでもない(ピアノは習っていたけれど、指が短すぎて一オクターブ届かなかったwww)けれど、文章は書くことは好きだから、これから英語でも何かしら詩やら小説やらを書いてクラブに貢献できればと思っている。

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先日彼女たちと美術館に出かけた。Getty museumというミケランジェロやモネの作品がなんと無料で見ることができる綺麗な美術館。帰りに1人女の子の家にみんなでより、お茶を飲んで話をした。その中でその家の女の子が投げかけてくれた質問がとても興味深かった。

「Moeka、あなたを確立させるのに作用した、あなたに影響を与えた人物は?」

いざ聞かれてみるとぱっとすぐに言葉が(英語がまだ達者じゃないというのもあるけれど)出てこなかったけれど、なんとか返事をした。

アレハンドロ・ホドロフスキーはその1人。彼は1番美しい芸術は詩と言ってた。彼の作品はどれもサイケデリックだけれど、美術にも哲学にも造詣が深い人。ホドロフスキーの考え方は影響を与えてる」

キューブリックは「芸術家は芸術にだけ責任を持てばいい」と言ってた。私もその通りだと思う。あとはジム・ジャームッシュのような作風は好きで、私が目指したいものに近いかもしれない」

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かなりぐちゃぐちゃに喋ったけれど、皆真剣に聞いてくれた。その女の子もジム・ジャームッシュは影響を受けた芸術家だそうだ。なぜ皆はアートが好きなの?勉強したいと思ってるの?と聞くと、このように答えてくれた。

 

「何かを描いたり作ることは私を心の底から満足させてくれるから」

「僕は詩を書いてる。生きることは詩に似てる。詩はその瞬間を永遠に止めておいてくれるものだから美しいと思う。将来あちこちを旅してちょっとずつ詩を書きながら生きていけたら最高」

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今まで同世代で、何か文章を書いたり絵を描いたりという友達はいなかったから、このような話ができることが嬉しいのはもちろんのこと。常にノートやギターを持ち歩いて自己表現を自由にする彼女、彼らを見ているととても眩しいし美しい衝動だなと改めて思う。最近仲良くなった彼らは自分が生きることのわらじに、もう“詩”や“絵”がナチュラルに組み込まれていることを受け止めているのだろう。だから自由で、奔放に創作ができているのだろう。

 

言葉がまだ十分でない今、それでもコミュニケーションを取り自分のことを理解してもらうために、まず自分が自分のことをより理解し、素直な気持ちを抱き、好きなものに対して確立した意見を持つこと。何よりもそれが必要なのではないかと感じた学校二週目だった。短いけど日記終わり。

 

【感想】『君の名前で僕を呼んで』なぜここまで美しい映画なのかについて考えた

 

「芸術とは、人間が心の中に高まる感情を最高最善のものへ移行させる人間活動である」ートルストイ

 

アメリカで一足早く『君の名前で僕を呼んで(Call me by your name)』を観た。

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良いところが書ききれないほどある。まず、映像の美しさ。彫刻のような主人公2人の艶めく肉体。ピアノの音色。同性同士の恋愛だが、そのことを社会問題などとはからめずに主人公の初恋、成長として描いているところも魅力だ。(主人公エリオの両親はオリヴァートの恋愛に気づいていたようだが、彼の気持ちに寄り添う姿勢を見せていた)

 

とても美しい映画なのだが、「ここがこうだから『君の名前で僕は呼んで』はすごい映画だ!」と、そう言い切れないところがある。いや、おそらく観る人達それぞれの内側深くに潜り込んできて、この映画に無意識に身を委ねてしまうところがあるのだと思う。それでふと、冒頭に書いたトルストイの言葉を思い出した。

 

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『Call me by your name』の原作者、アンドレ・アシマンはこの物語をあくまで自分の記録として執筆したそうなのだ。だからこの物語はとても個人的な感情が込められた作品ということだ。夏の初恋、愛を覚えることの喜びと痛み、自我の目覚め。その心の中に高まった感情が言葉となり、そして美しい映像とともに映画になった。世の中のためでもなく、ただ自分が愛した人へ捧げるラブレターとして、自分の尊ぶべき記憶を変換し永遠にする手段として。そうやってできた作品は本当に美しいものだと思う。そんな芸術の極致に達していると言えるからこそ、『君の名前で僕を呼んで』はここまで心を揺さぶるのではないかと。

 

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君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼ぶ。自分がいて、自分の中にあなたの存在を見つける。あなたの中に自分の存在を見つめる。名前を呼び合うごとに互いが互いの中に溶け込み一つになっていく。ガラスケースに入れて飾っておきたいぐらいになんて繊細で、官能的な言葉なんだろう。

エリオとオリヴァーのように、何もいらずとも精神的に惹かれ合う恋愛は儚くとも他には代えられない美しい輝きがある。1人の芸術家の記憶がたった1つの美しい物語へ、映画へと移行された。そんな瞬間を観ることができたのが『君の名前で僕を呼んで』だった。

 

 

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余談だけれど、友人と「なんで夏の恋はあんなに短く、それでも少し他の季節とは変わった恋愛として捉えられるのだろう?」と話をした。「暑いから」なんじゃないかという話になった。単純だが、あながち間違っていないのではないかと思っている。笑 あまりにも暑いと複雑な考えもやっぱりできなくなるし、衝動が先走ってしまうことが多い気がするのだ。冬など寒い時期はどうしても閉じこもったりして、内省的になりがちだけれど。エリオを演じたティモシー・シャラメくんを見て、夏に潜む魔物はこんな美少年なのではないかと、思ったりもした。

 

【ネタバレ考察】映画『シェイプ・オブ・ウォーター』愛の変遷のあり方について考える

日本だと2018年3月1日に公開だけれど、アメリカで一足先に早く観ることができた。ギレルモ・デル・トロ監督による最新作シェイプ・オブ・ウォーター

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デル・トロ・監督の作品は以前から大大大好きで、今回もずっと楽しみにしていた。「中身が大事」という割に結局イケメンとか美女に戻ってんじゃねえかよ!という某いろんな作品へのアンチテーゼとか、社会の中の弱者達が声をあげる話でもあったり、芸術家が愛によって自身の作品を完成させていくお話でもあったり。でも『シェイプ・オブ・ウォーター』を観て余韻もちょっとひと段落した今、「どんな作品だった?」と聞かれれば「愛っていう概念がなんで尊くて強いものって言われてるのかわかった気がする」と言う言葉が真っ先に出てくると思う。

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なぜタイトルはシェイプ・オブ・ウォーター』、「水の形」なのか?これについてデル・トロ監督が「愛と水に形はないもの。どこにでも流れ込んでいけるものだ。この世で最も強い力が愛と水なんだ」とおっしゃっているインタビューの断片を目にした。(ちらっと見ただけでして、引用元を見失ってしまってごめんなさい😭)

 

(この記事は『シェイプ・オブ・ウォーター』のネタバレを含みます。)

 

確かに愛情と水の形をかけと言われてもかけっこないし、それに数えられない。そしてどこにでも流れ込んでいけるものだと思う。でも「枠組みを作れば、そこに流れ込んでいく」と言うことに気がつかされた。水も愛情も。一人愛する人がいれば、その人にありったけの愛情を注ぎ込む。水路を作り、そこに少しずつ流していけば、徐々に溜まっていく。

このことを思うとシェイプ・オブ・ウォーター』は愛情の変遷とあり方について、水になぞらえて美しくかつ分かりやすく描かれていたのではないかと思う。

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最初ヒロインと半魚人が出会いたてのころ。ダグ・ジョーンズ扮する半魚人は檻のような狭い水槽に閉じ込められている。鎖にも繋がれているし、もちろんヒロインと体で触れ合うことができない。

ヒロインが半魚人を救出してからは、家の浴槽に移る。ちょっと狭いけれどもちろん研究所の水槽よりは居心地が良い。そしてそのあと、二人は蛇口をいっぱいにひねって風呂場全体を水だらけにする。水の体積が大きくなるのだ。そして最後の最後、半魚人とヒロインは二人でダムの水の中に(あれはダムだったよな...)飛び込んでいく。水は小さな枠組みに溜まり始め大きな枠組みへ変化し、枠をつきやぶり、最後の最後は水の中で二人で生きていく選択をする

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あの美しいラストシーンを見て、「愛に生きる」のではなく、「愛の中で生きる」ということが尊いことなのだなと思った。だから水中で二人が抱き合いゆっくりと沈んでいく姿は、ここ最近観た恋愛映画の中でもっともと言っても過言ではないぐらい美しいシーンだった。「愛とともに生きる」と「愛の中で生きる」は、似ているようで違うことだとも思うし...

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ダークファンタジーが好きな方はもちろんのこと、社会的メッセージが込められた今観るべき映画でもあると思うし、人間にとって大きな範囲を占める愛という概念を綴ったたくさんの人たちに触れて欲しい作品と思う。(ネタバレしちゃってごめんなさい、書きたくて...😂)アカデミー賞の行方もきになるところだけれど、もっと人それぞれの個人的な感情に優しく寄り添ってくれるものであると思うから。

 

 

ロサンゼルスの映画館記録⑵ / チェーンとミニシアターご紹介

アメリカに来て10日が経ちました!最初の一週間はすごく長く感じたけれど今週はあっという間に感じます。私がいくコミュニティーカレッジのクラスが始まるのは2月!それまですごく暇なんです...笑 昨日は留学生のスクールツアー、今日はプレイスメントテスト(クラス分けテスト)を受けてきました。明日はオリエンテーション!それが終わったら次は何をしよう。笑

 

新しい土地にくると歩いているだけでも目新しいものばかりなので映画欲も前よりおさまるかな?と思ったのですがやはり健在で、来てから3回劇場に行ってきました!笑 前回の映画館レビューの記事は、こちらです。

 

今回は行ってきた、発見した映画館第二弾ということで書きたいと思います!

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1.Laemmle's Town Center 5

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『Call me by your name(君の名前で僕を呼んで)』を観たのは日本食レストランなども入っている小さめのショッピングモールに入っている“Laemmle's Town Center 5”。日本でいう武蔵野映画館のような、ミニシアターの雰囲気漂うところでした。お値段は大人10ドル。アメリカの映画館は(場所によるかと思いますが)昼間に観に行くと日本に比べてかなり安いです。まだ18ドルを払うところは見つけていません!

 

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チケットを購入して中に入ると、ポップコーンに自分で振りかけるパウダーが設置してありました。笑 

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アメリカは何でもサイズが大きいとは思っていたのですが、改めてびっくり。日本のLサイズの大きさがこちらではSサイズなんです。Lで頼んだらどんなサイズが出てくるやら。笑 ここの映画館はスクリーン数も座席数も少なく、席は自由席でした。のんびりこじんまりとした空間で『Call me by your name』観ることができてよかった...

サンタモニカのようなダウンタウンからは少し遠いですが、これからも定期的に利用したいところです。

 

2.AMC theater Santa Monica 7

 

サンタモニカでジュマンジ : ウェルカム・トゥー・ザ・ジャングル』を観たのは“AMC theater Santa Monica 7”。この“AMC theater”はサンディエゴなど他のところにも店舗を展開するチェーン店のようです。

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ダウンタウンの街並みやお店はどこを切り取っても可愛いのですが、映画館のエントランスもこれまたキュート!お値段は大人で7ドルと30セントほど。安い...

この映画館は飲み物を買ったらそのサイズの紙カップを渡され、ドリンクバーのように好きな者を入れていいよ!という仕組みでした。もちろんサイズはSでも超大きめ。笑 コカコーラにファンタにスプライトの種類もたくさんあって面白かったです。

 

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アメリカの映画館で好きなところは、何より座席も通路もゆったりしているところ!映画館あるあるな前を通る時に「ちょっと失礼します...あっ荷物蹴っちゃった、ごめんなさい」みたいなのは絶対ありません。この通路はスーツケースもおけるんじゃないかぐらいの広々っぷり。しかもリクライニング、足の部分も上に上がるので思いっきりくつろげるんです。

ジュマンジ』は5分に一回ぐらい、みんな手を叩いたり思い思いの声をあげたり爆笑の嵐。館内が一体となっている楽しい空間でした。アメリカで観ることができてよかったかも!

 

3.Nuart theatre 

 

まだここに映画を観に行ってはいないのですが、近いうちに絶対中に入ろうと決めているのがサンタモニカ、ソウテルに位置する“Nuart Thertre”。今のところ発見した映画館の中で、一番可愛いところです。

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この『La La Land』に出てきそうな、もしくはポピーランドにありそうな60sな外観!ここは『LADY BIRD』をどうやら激推ししている模様。(ちなみにエントランス外には灰皿も設置。)

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金曜の夜は『2001宇宙の旅』や『時計仕掛けのオレンジ』などのリバイバル上映、土曜の夜は『ロッキー・ホラー・ショー』を上映しているようなのでいつか行ってみたい!(ちょっと私が住んでいると事からは遠いんです...)

 

ロサンゼルス、特にサンタモニカのダウンタウン付近は本当に映画館がたくさんあります。さすがハリウッドの街!なんせ広くておしゃれな素敵なところを探すのは時間がかかりそうですが(笑)アメリカにご旅行、留学の際に映画館に行く時、参考にして頂けるようにいろいろな場所をご紹介できたらと思います!

 

 

【日記】勉強し続けた先に何があるのか、考える

私の親しい人が最近日記を買ったらしい。何度も日記を始めてみようと決意してノートまで買ったことはあるものの、私は恥ずかしながら続いたことがない。このブログもちょっと「誰かに見られている」ということを意識しているから続けられているけれど、実は今まではずっと頓挫している。笑

 

その日にあったことを書く日記もいいかもしれないが、何よりその時に考えていたこと思っていたことを後から「なぜそれを考えていたのか?」と考えることが、そして「こんなことを思っていたのか」と気づくことが、その時心にふと残った言葉や出来事が後から自分の助けになることもあるかもしれないので、今日は最近ぼんやりと考えていることを記録してみる。

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アメリカにきて一週間。私は昨年一ヶ月ほどアメリカに滞在したことがあったので、あまりものすごい驚きや街の使い方...スーパーの雰囲気やバスへの乗り方などで驚くことは無い。映画館を回ったりスリフトショップを探してみたりレンタルDVDショップを探したり、日本とそこまで変わらないルーティーンを送っている。学校が2月まで始まらないから遊ぶ友達もいないし、いわばめちゃくちゃ暇な状況。ひとりでいろんなことを考えている。映画のこと、これからのこと、恋愛のこと、今までしていた仕事のこと、友達のこと。

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これから大好きな映画のことを勉強するわけだからこんなことを今考えるべきで無いのも、口に出したり文字にしてしまうのも正しいわけでは無い、ということはわかっている。でもこの一週間“何かに詳しくなっても、自分よりそのことに関して詳しい人はいっぱいいる”“勉強だけでは自分の好きなことでも満たされないこともある”ということをよく考える。知識をどんどん集めるのは楽しく幸せだし、知的好奇心や欲があるのはとてもいいことだと思う。それでも何かに還元できないと意味が無いのでは、と思うことがある。もちろんただただ学ぶだけでは社会的な成功や仕事とは結びついていかないだろうし。(それが自分が本当に望んでいることかは、少し置いといて。)

 

研究し続けることに幸せを見出すのか。学んだことを世の中に出して、自分と同じことが好きな人、興味がある人、その分野に携わる人たちと共有していくのか。 今おそらく目の前には目に見えない箱がたくさんあり、それを開けても開けてもその箱の中にまた別の箱があり、それを開ききるまでにはどのくらいの時間がかかるのだろうとも考える。生きているうちに自分が知りたい全てのことを知ることができないとしたら、どこかで別のことに幸せを見つけないといけないのではないか...

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自分は“商業映画”のようなものにあまり興味が持てない。娯楽映画で好きな作品もあるけれど、何だかんだ興味が無い。ウェス・アンダーソンティム・バートンアレハンドロ・ホドロフスキーギレルモ・デル・トロ。自分のネガティブな経験もコンプレックスも、一つの作品として芸術に昇華させる。“作りたい”いや、“作らずにはいられない”というような監督たちの映画にとても惹かれる。自分も何か思いや考えを、おとぎ話のように作れることができたらどんなにいいだろう?でもリアルをそのままに書くことが一番いいと思う時も、いつかくるかもしれない。その時を探すには今は勉強しなければいけないのだけれど。幸せであるための方法を探すのは、考え続けるのは、必要であるけれど難しい。だから人とのつながりが大切であるのかも。自分ではそこまでしか進めなかったことも、誰かの言葉や手を借りて前に進めることがあるから。

 

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あ、あともう一つメモとして。もっと日本語が上手になりたい。笑 きっとこれからどんな言語を習得しても、22年間日本に住んでいたから一番うまく使えるのは日本語なはず。海外にいるからこそ日本人らしく生きれるように意識を持つこと、それは今年の目標の一つにしよう。

 

 

カトリーヌ・ドヌーヴら100人の女性による“MeToo運動批判の書簡”を読んで

 

先日開催されたゴールデングローブ賞授賞式。今回女優たち、俳優たちの多くが黒いドレスや衣装に身を包んで登場しました。全世界で広がる『Me Too』のムーブメント。

2017年10月に起こったハーヴェイ・ワインスタイン騒動。セクハラの話を聞いてとんでもないおっさんだなと思いましたし、『パルプ・フィクション』『グッド・ウィル・ハンティング』などの名作を手がけたプロデューサーと聞いてショックを受けました。無名だったマット・デイモンベン・アフレックを見出した男。彼のセクハラ、レイプ、脅迫行為は許されるものではありません、これから彼によって生まれるはずだった素晴らしい作品は観ることはないのかと思うと、少しだけ残念に思う自分もいたことに気がつきました。

 

ワインスタインに関する告発から始まり、どんどん女性たちによる性的被害の告発が広がっていきました。そしてハッシュタグ #MeToo。どんどん広がっていくムーブメントを見て、何か言葉にできない違和感を感じていました。そして昨日(1月10日,11日?)、ネットで目にしたのが『フランスの女優カトリーヌ・ドヌーヴら100人の女優がルモンド紙に書簡を寄稿、#MeToo運動は行き過ぎと批判』という記事。書簡の内容を訳された記事があったので、貼らせて頂きます。

 

カトリーヌ・ドヌーヴら100人の女性が『MeToo』運動を批判

 

この訳を読み、自分が感じていた違和感がやっと言葉にできるような感覚になりました。私はフランスの女優、作家、映画監督ら100人の女性が発表したこの批判声明に関して、賛同する気持ちでいます。

今までこういった問題に関して何か思うことはあっても、うまく言葉にすることができませんでした。意見を持つということもあまりできませんでした。知識が十分にないから、“意見をもたない”ということを選択するということが良い場合もあると思いますが、今回は少し思うことをブログに書いてみたいと思います。

 

MeToo』のムーブメントは、性的被害、セクハラ問題の重大さを訴えるもの。ハリウッドで蔓延していた問題に目を向ける、意識するようになったということはとても必要なことだと思います。しかし書簡にも書いてあるように、“自由に発言できるようになった女性たちの矛先が逆方向へ向かい始めた”ということは感じます。男性たちのことを貶めよう、憎悪の対象にしようといったなんというのでしょう...間違った“フェミニズムの風潮”が少し流れている気がするのです。

 

ゴールデングローブ賞で大勢の女優さんがブラックドレスを着用していましたが、中にはカラフルなドレスを着用した方も。彼女たちに対して、ブラックドレスを着用しないことへの批判が寄せられていました。それに対してモデルのバーバラ・メイアーはこのように語っています。

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「多くの女性たちが今夜、『Time's Up』のムーブメントを支援するために黒いドレスを着ることになる。これはとても重要で素晴らしいイニシアチブだわ。でも私はカラフルなドレスを着ることを決めました。もし今夜の授賞式を自分たちの権利のために立ち上がる強い女性によるゴールデングローブ賞にしたいのであれば、もうセクシーなドレスを着てはいけないとか、ファッションを通して私たちのキャラクターを表現する楽しみを人から奪うことは間違っていると思うから」

 

彼女がブラックドレスを着用しないからといって、“セクハラ問題を重要視していない”“女性にいやな思いをさせた男性たちの味方”ということは断じてありません。100%大多数の人間がやっていることに沿わなくてはいけないのか?なぜそれをしなかったからといて糾弾しなくてはいけないのか?書簡にもある通り、このようなムーブメントにのっからない女性のことを“裏切り者”とするのは全くおかしいことだと思います。そして、100%の同意をできない人のことを徹底的に排除しようとするのは、自由を奪うことであるとも。

 

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今回のドヌーヴさんたちの書簡に全て「そうそう!」と言えるわけではありません。「彼らが犯した唯一の過ちというのは、仕事上の会食の席で女性の膝をさわったり、無理やりキスをしたり、親密な言葉を囁いたりしたことや、性的な意味にも取れるメッセージを、自分に気のない女性に送ったりしたことだけなのです」この“無理やり”というのは(原文を読んでいないので、もしかしたら意味合いは違うかもしれませんが...)“相手が嫌がっているのに”というのを感じ取れるのでセクハラではないかと思いますが。でもここに、国柄や文化の違いは少なからず関係しているのではないかと思いました。フレンチ・フェミニズムに関して興味深い記事を発見したので、また貼らせて頂きます。

 

フレンチ・フェミニズムについて

 

国によって人々の性格も違いますしコミュニケーションの取り方も違いますし、男女の親密な関係についての考え方も違います。ただ文化が違えど“悪”であるのは、“相手の気持ちを考えずに不快な気分にさせること、踏みにじること、傷つけること”。レイプや脅迫なんてものはもちろん犯罪です。それでも“性”に関してはこれは国も文化も関係なく、一人一人全く違うものだからすごく難しい問題なのではないかと思うのです...

 

人と人の“性的な関係”に、“これが正しい”と割り切れるものはないと思います。まず“SM”という性的嗜好もありますし。嫌だと感じることを受け入れてその関係を続ける、という人だっています。親密な言葉を囁いたり、良いなと思う女性を口説こうという行為だとか、そういったもの全てを糾弾すべきではないと思います。セクシーな人がいたらイイ感じになりたいとかこの人とセックスしたいだとか、そう思うことは何も罪なことではありません。無理やりにすることは犯罪ですが。文化の違い、それぞれの性について心について、難しい問題ではありますがずっと女性たちが“私たちはこんなことで傷ついてたの、犠牲者なのよ”という立場にいるべきでないとも思います問題を取り上げることは大切で、罪を犯した人は償い、そして改善されていくことが重要なことです。正義を暴走させて憎悪を暴走させてしまっては元も子もないというか。“弱いもの虐め”の繰り返しになるのではないかと思います。大多数の意見が絶対として、その他の意見を徹底的に排除すべきでないとも。

 

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この書簡では芸術に迫る洗浄化の波についても言及しています。禁じられたエゴン・シーレの裸婦画。バルテュスの『夢見るテレーズ』を美術館から外せという者。ポランスキー作品上映禁止。『夢見るテレーズ』もシーレの裸婦画も、美しいと思うことはダメなのでしょうか...?芸術作品と混同すべきではないと思います。間違った洗浄は芸術を衰退させてしまうと。トリアー作品が女性蔑視か?そんなことはありません。『愛の嵐』は男性に虐げられる弱い女性の話か?私は一つの愛を描いた悲しくも美しい恋愛映画だと思います。『わらの犬』はレイプシーンがあるから上映できなくするか?いやいや、サム・ペキンパーが自分のことを「暴力監督」といった人たちに対するメッセージ映画でもあるでしょう。レイプされても淡々としている『ELLE/エル』はおかしな映画か?あれは一人の人間が徐々に自分を取り戻していく作品でしょう。書簡にもあるように、「女性はこう書かれるべきだ」なんて決められた作品なんて...それは芸術と言えるのでしょうか。

 

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男女問わず性的暴力の問題が解決されること、悪い過去が葬られて前に進むこと、憎しみが膨張しないことを願います。“本当のフェミニズムとは何なのか”“自由とは何なのか”“正義の形とは何なのか”自分で感じた違和感の答えを探しながら、そんなことを改めて考えさせられた日でした。

アメリカの映画館記録 / 【感想】映画『シェイプ・オブ・ウォーター』ずっとこんなラブストーリーを待ってた

こんにちは!

昨日(アメリカ時間で1月7日)無事にアメリカにつきまして、留学生活がスタートしました!ちなみに飛行機では一睡もできず、ザ・マミーとGotG2、Gifted、小栗旬のミュージアムをずっと観てました。笑(あともう一個なんだか忘れちゃった) 

 

こっちにきていろいろ銀行開設やら学校までの行き方を確認やらしなければいけないんですけれども、とりあえず「映画観よ」と思ったので今日は早速行ってきました😂

観たのはもうすぐこちらでも上映が終わってしまいそうだったので、どうしても映画館で観たかったギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター

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今回は行った映画館がどんな感じだったかと、『シェイプ・オブ・ウォーター』の感想を(できるだけネタバレなしで)書きたいと思います。

 

まず行った映画館は、カリフォルニア州ロサンゼルスの

『Arclight Sherman Oaks』というところ。こちらは他のところにも系列の館があるみたいです。

本当は小さくて汚めの(笑)『トゥルー・ロマンス』でアラバマクラレンスが出会ったみたいなところに行きたかったんですけど、上映館が少なかったのでここに。

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ここは綺麗めなショッピングセンター的存在の中に入っていました。

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チケット売り場はこんな感じ。私が行った時はなぜかチケットカウンターがしまっていて、内設されているコーヒーバーでチケットを購入。笑 大人は14.5ドルでした。日本よりはちょっとお安めだけれど、もっと安いところもいっぱいあるみたいです。あと時間によってお値段も変わるみたい。

日本と違ってグッズやパンフレットは売ってないけどスター・ウォーズ関連はすごく豊富でした。

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上映までの待合室のようなところに入ると、大きなスクリーンにこれから公開される『アイ、トーニャ』や『ペンタゴン・ペーパーズ』、その他の新作映画がずらりと映しだされていて面白かった!

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ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』をみると漢字なので思わずびっくりしてしまいます。笑

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そんな中まるで美術品さながらにうやうやしく飾られる『デッドプール2』...

 

この映画館はシアター数は16、スクリーンもかなり大きかったです。席も日本よりゆったりしていて座り心地よかったかも。

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看板のところはおしゃれな照明で♡ 平日ということもありガラガラでしたが、笑えるところは声を出して笑っている方がいたりとアメリカの映画館らしい雰囲気で楽しかったです。

 

そして、観た映画シェイプ・オブ・ウォーター

 

(『シェイプ・オブ・ウォーター』の微ネタバレを含みます)

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こんなラブストーリーを待っていた、という感想です。

 

舞台は1960年代のアメリカ。主人公の女性イライザは喋ることができない、政府の秘密機関で掃除係として働く女性。そこに連れてこられたのは半魚人の男。そんな二人が恋に落ちるけれど、半魚人は政府の役人に拷問され始め、イライザは隣人の画家や友人のゼルダの力を借りて救出するものの...というお話。

 

ディズニーの『美女と野獣』なんかは、結局野獣も最後王子様に戻る。本当に内面が好きなら、そのままでいいじゃん!今のままでいいじゃん!って思うのに、最後イケメンになるのかよ!みたいな。笑 この映画では最後まで半魚人のまま。ヒロインのイライザも、“超綺麗!お姫様みたい!”という感じではありません。(サリー・ホーキンスさんは魅力的な方ですが、他の恋愛映画のようにキラッキラした感じじゃ全然ない)  異形のものは、異形のそのままだからこそ美しいのに。

 

この映画に出てくるキャラクターたちは皆日陰に生きる者たち。この60年代という時代、ゲイの人や黒人に対する差別が根強く残っている時代。隣人の画家のおじいちゃんはゲイで、イライザと同じように掃除係として働く人たちも白人以外ばかり。起床するのも夕方で、働くのは夜。まさに“陽に当たれない、当たらない人たち”なんです。監督が仰るにはそんな“声無き者たちの”逆襲の物語なんだとか。

 

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なんというか、すごく官能的でした。直接的な意味で、思ったよりも。笑 だって始まってから五分もしないうちに、イライザが自慰行為をするシーンがありますから。笑 それに性と食を結びつけるように食事シーンがすごく多い。イライザやおじいちゃんがサンドイッチやパイを食べるシーン、ソ連の人たち(アメリカとソ連は科学技術を競い合っている最中なのでソ連も出てきます)も超高カロリーそうなバターケーキやらチキンやらを食べてるし。印象的だったのは、マイケル・シャノン演じる悪役の役人はいつもやすそうなキャンディーを頬張っていること

 

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ちょっとネタバレになるんですが、イライザと半魚人が性行為に及ぶことになる...というシーンがあるんですね。その時に画面に水滴が現れて流れ出して、ピタッと一つにくっつくんです。デル・トロ流のセックス表現というか受精の瞬間を見たというか、美しいシーンでした。

 

そういえばイライザはいつも仕事に向かう時に、バスの中で帽子をとって耳に当てているんですね。なんだか大きな法螺貝を聞いているみたいに

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でも半魚人と初体験を終えた後は、その仕草をしなかったんです。その仕草はどこかへ行ってしまいたいという気持ちの現れだったのか、愛する人ができたからそう思わなくなったのか、自分の心の声を聞こうとしていたのか...(私の英語力で読み取れない部分があったかも)

 

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今年は始まったばかりですが自分の中で『シェイプ・オブ・ウォーター』は2018年ベスト10に入るかもしれないです。美しい純愛の物語であり、愛から生まれた芸術の物語であり、陽に当たらなかった者たちの救済の物語であり...ずっと湿っているかのような、ちょっとグロテスクでファンタジックな映像もまたデル・トロ監督の頭の中に入ったかのようで。映画の力を借りて、今まであげることのできなかった叫びが波となって押し寄せる。そんな作品でした。(劇中では10分に一回と言ってもいいぐらい、たくさん映画が流れているシーンがありました。)  ぜひ2月で日本公開されたらご覧になってみてください!