Bande à pierrot

ティム・バートン、テネシー・ウィリアムズ、アレハンドロ・ホドロフスキー。

『スーサイド・スクワッド』やっぱり愛しのハーレイ・クイン「こんな恋愛があってもいいじゃない」

こんにちは!Moekaです。

 

今回は「こんな恋愛があってもいいじゃない」というざっくりしたお話をします(笑)

 

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ハーレイ・クインちゃん♡ 『スーサイド・スクワッド』が公開されたのは、去年の今頃よりちょい後ぐらいだったような...?めちゃめちゃはまって、3回観に行きました。笑

アメリカではそこまで流行らなかったようです、『スーサイド・スクワッド』。(日本でも超高評価!というわけではなかったと思うのですが...)それはヒロインのハーレイ・クインが、“自立した女性”として描かれていなかった、という理由が一つとしてあるようなんですね。

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今はディズニー・プリンセスも王子様がいない時代になりました。“自立した女性像”を描いている映画が多いですね。『キングコング』も一番最初の作品のヒロインは、ただただキングコングにさらわれて助けられるだけ。でもキングコング 髑髏島の巨神』ではロマンス要素はなく、カメラマンで一緒に戦うヒロインが描かれています。

確かに、ハーレイちゃんは自立してるかしてないかでいえば...していないでしょう。笑 爆弾を埋め込まれたから戦いに出るものの、解除されてプリンちゃんが助けにくれば余裕でほっぽりだす。優秀な精神科医でも、マッドな男に魅せられたから自分も悪の道へ。そんな愚かで、可愛い、道化の女の子です。今このように描かれているヒロインは、他になかなか思いつかないなあ。前Oriver Cinemaで記事にしたこともあるんですけれど、この映画のヒロインとちょっと重なるところがあるんですよ。ジャック・ドゥミ監督による作品『ローラ』(1961)のヒロイン、ローラです。演じるのは『男と女』甘い生活』のアヌーク・エーメ

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ローラは踊り子で、息子を育てながら、いつ帰ってくるかもわからない初恋の男をずっと待っているんです。魅力的な彼女ですから、男たちも彼女に恋をします。でもローラが見えているのはその“初恋の彼”だけ。ハーレイちゃんとちょっとこの時点でかぶるところがありますよね。ハーレイにとって、自分を“ハーレイ・クイン”として創造したジョーカーはなんかこう、“絶対的”な存在じゃないですか。愛を超えてもっと濃い鎖みたいなもので縛られているところがある。ローラもまた自分に“女”を目覚めさせた初恋の男を、ずっと待ち続けているわけです。

周りから見たらローラはいつも明るくて、簡単なお喋りを楽しめる、セクシーで魅力的な踊り子。ローラは人前で落ち込むそぶりは見せないんです。綺麗にお化粧をして、男性たちを喜ばそうと言葉を飛ばす。

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ハーレイちゃんは看守に「おつむが弱い」とか言われてましたね。笑 それでも狂ったように大爆笑。彼女たちが愛する人への気持ちが募りすぎて、「あたし悲劇のヒロインなの...」とか言ってたら相当面倒くさいと思いますが、「いいの!あんたがそう思おうと、私は幸せなのよ!別にいいでしょ!」って振舞っているところがとっても愛おしいんです。ハーレイちゃんは自立はできてないと思いますけれども(笑)弱い子ではないと思います。献身的で、犠牲的で...だって、映画でジョーカーは最初ハーレイを置いて自分だけ逃げるけれども、ハーレイはジョーカーの悪口なんて言わないでしょ。

ジョーカーと同じピエロになってしまったハーレイちゃん、いつも笑みをたたえているローラ、決して崩さない微笑みを顔に浮かべている彼女たちを見るとなんかこう...ちょっと切なくなるような...

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なかなか思うようにいかない恋愛に心を捧げている姿は、可笑しくて少し悲しい、滑稽であるのかもしれません。そして“笑われてもよい”と、道化に姿を変えてしまうものなのかも...先日ケネス・アンガー監督による短編作品『ラビットズ・ムーン』を拝見しましまして、改めて思いました。この『ラビットズ・ムーン』は月に恋い焦がれるピエロの話なんです。おどけた表情をしているのに何だか泣きたくなるような、ちょっぴりやるせない気持ちになる作品でした。

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完璧に自立した強いヒロインもいいけれど、恋人がいなきゃ生きていけない子がいてもいいじゃない。薬品の樽に一緒に飛び込んじゃうような、訳のわからない恋愛があってもいいじゃない。笑 社会だの規律だのに関係なく、自分たちだけの世界で生き続けるカップルがいてもいいじゃない。って、『スーサイド・スクワッド』を観ると思います。笑 今度制作されるジョーカーとハーレイちゃんの映画は何でも“ヤク中版『恋人たちの予感”という噂を耳にしたんですが...笑 ちょっと描き方が変わるのでしょうか。でもやっぱり、「プリンちゃん!」って追いかけまくる、そんなハーレイちゃんがみたいなあ。笑