【セクシーな映画】ケネス・アンガー『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』なぜフェティシズムを感じるのか真面目に考えた
こんにちは!Moekaです。
2017年振り返り旧作編ということで、今日は今年みた中で一番フェティシズムを感じた作品について書きたいと思います。
ケネス・アンガーによる
『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』
伝説的存在であるアメリカの映画監督、ケネス・アンガー。神秘主義、悪魔主義、同性愛...(ケネス・アンガー監督は同性愛者です)精神世界を投影したその作品たちはカルト的人気を誇っています。なんでも“世界で初のゲイ映画”を撮ったと言われているのだとか。たくさんの映画監督さんたちも彼の映画に影響を受けてきたそうです。今回彼の作品が詰まった『MAGIK LANTERN CYCLE(マジック・ランタン・サイクル)』(1980)を貸して頂いて、観ることができました。ウレシイィィィ
収録されていた作品は、
『花火』
『プース・モーメント』
『ラビッツ・ムーン』
『人造の水』
『快楽殿の創造』
『スコピオ・ライジング』
『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』
『我が悪魔の兄弟の呪文』
『ルシファー・ライジング』
『マウス・ヘブン』
『The man we want to hang』
でした。タイトルを並べてみるとパワーワード満載ですね。笑 この中で私が特に好きだったのは『ラビッツ・ムーン』『人造の水』『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』でした。『K.K.K 』はとてつもなくセクシーな作品でしたね...
で、この『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』はどういう作品なのかというと
「ぴちぴちのTシャツにこれまたぴちぴちのデニムを履いたハンサムな青年たちが、内臓が剥き出しの単車をもこもこのピンクのパフでなぞるように磨いていく」
本当それだけといえばそれだけの3分間なんです。笑 BGMはThe Paris Sistersの『Dream Lover』。
幾夜も私は祈るの 夢の恋人がくるように
夢の恋人が欲しいの
いつの日かはわからないけれど
彼からの告白を願ってるの
どんな方法か分からないけれど
彼の愛で満たしてくれるの
そんなキュートな歌にのせて、車を磨き続ける青年達...でもたった3分間ですけれど、素晴らしく蠱惑的で、セクシーなんです。なんでここまでこの作品が色っぽく感じるか、それは観る人の性癖によってしまいそうでですが...私は“普段見えない、内側の部分をなぞっていくから”ここまでうっとりさせられるのではないかと思っています。あとは柔らかいものが硬たい冷たい金属に触れるという、“反対のものが触れ合う”というところでしょうか。
人間も、普段見せない部分が色っぽく感じることってあると思います。笑 例えば腿の裏側とか、脇とか、横のお腹とか。くすぐったい部分であるし、もっというと性感帯の部分だったりしますよね。笑 車も普段は頑丈な外側で覆われていますが、中には内臓がぎっしり!それをこの青年達はパフ(毛=中ではなく“外側”を連想させるもの)でゆっくりと磨いていく。これはケネス・アンガーなりの“行為に至るまでの前戯”を描いているのではないか...と思います。笑
澁澤龍彦先生もこんなことを仰っていました。
「(行為の前に)ごわごわしたガードルを外してやるのは、大そう骨が折れるけれども、エビの甲羅を剝くような感じで意外におもしろい。中には白い、やわらかい身がぎっしり詰まっている。やっぱりエビとおんなじだ!」
この『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』ではごわごわしたガードル=車の外側、白いやわらかい身=車の内臓 ではないのかな?だなんて。笑 この作品絶対たまらない人には本当にたまらないと思う!!!笑
ケネス・アンガーの『花火』は、同性愛者の劇作家テネシー・ウィリアムズ(『欲望という名の電車』『ガラスの動物園』の著者)も大絶賛していたのだとか。このテネシー・ウィリアムズは友人であったエリア・カザンとも大げんかしているし、そんなに何かを褒める...という人ではなかったようなんです。だからよほどの理由があって絶賛したのでしょう。アンガーが今までに溜まっていたものを芸術として昇華させたことに、感銘を受けたのかしら... きになる。
『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』気になった方はぜひご覧になってみてください!!自分の新しいフェチに気づかされちゃう、かも。笑