アメリカの映画館記録 / 【感想】映画『シェイプ・オブ・ウォーター』ずっとこんなラブストーリーを待ってた
こんにちは!
昨日(アメリカ時間で1月7日)無事にアメリカにつきまして、留学生活がスタートしました!ちなみに飛行機では一睡もできず、ザ・マミーとGotG2、Gifted、小栗旬のミュージアムをずっと観てました。笑(あともう一個なんだか忘れちゃった)
こっちにきていろいろ銀行開設やら学校までの行き方を確認やらしなければいけないんですけれども、とりあえず「映画観よ」と思ったので今日は早速行ってきました😂
観たのはもうすぐこちらでも上映が終わってしまいそうだったので、どうしても映画館で観たかったギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』。
今回は行った映画館がどんな感じだったかと、『シェイプ・オブ・ウォーター』の感想を(できるだけネタバレなしで)書きたいと思います。
まず行った映画館は、カリフォルニア州ロサンゼルスの
『Arclight Sherman Oaks』というところ。こちらは他のところにも系列の館があるみたいです。
本当は小さくて汚めの(笑)『トゥルー・ロマンス』でアラバマとクラレンスが出会ったみたいなところに行きたかったんですけど、上映館が少なかったのでここに。
ここは綺麗めなショッピングセンター的存在の中に入っていました。
チケット売り場はこんな感じ。私が行った時はなぜかチケットカウンターがしまっていて、内設されているコーヒーバーでチケットを購入。笑 大人は14.5ドルでした。日本よりはちょっとお安めだけれど、もっと安いところもいっぱいあるみたいです。あと時間によってお値段も変わるみたい。
日本と違ってグッズやパンフレットは売ってないけどスター・ウォーズ関連はすごく豊富でした。
上映までの待合室のようなところに入ると、大きなスクリーンにこれから公開される『アイ、トーニャ』や『ペンタゴン・ペーパーズ』、その他の新作映画がずらりと映しだされていて面白かった!
ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』をみると漢字なので思わずびっくりしてしまいます。笑
そんな中まるで美術品さながらにうやうやしく飾られる『デッドプール2』...
この映画館はシアター数は16、スクリーンもかなり大きかったです。席も日本よりゆったりしていて座り心地よかったかも。
看板のところはおしゃれな照明で♡ 平日ということもありガラガラでしたが、笑えるところは声を出して笑っている方がいたりとアメリカの映画館らしい雰囲気で楽しかったです。
そして、観た映画『シェイプ・オブ・ウォーター』。
(『シェイプ・オブ・ウォーター』の微ネタバレを含みます)
こんなラブストーリーを待っていた、という感想です。
舞台は1960年代のアメリカ。主人公の女性イライザは喋ることができない、政府の秘密機関で掃除係として働く女性。そこに連れてこられたのは半魚人の男。そんな二人が恋に落ちるけれど、半魚人は政府の役人に拷問され始め、イライザは隣人の画家や友人のゼルダの力を借りて救出するものの...というお話。
ディズニーの『美女と野獣』なんかは、結局野獣も最後王子様に戻る。本当に内面が好きなら、そのままでいいじゃん!今のままでいいじゃん!って思うのに、最後イケメンになるのかよ!みたいな。笑 この映画では最後まで半魚人のまま。ヒロインのイライザも、“超綺麗!お姫様みたい!”という感じではありません。(サリー・ホーキンスさんは魅力的な方ですが、他の恋愛映画のようにキラッキラした感じじゃ全然ない) 異形のものは、異形のそのままだからこそ美しいのに。
この映画に出てくるキャラクターたちは皆日陰に生きる者たち。この60年代という時代、ゲイの人や黒人に対する差別が根強く残っている時代。隣人の画家のおじいちゃんはゲイで、イライザと同じように掃除係として働く人たちも白人以外ばかり。起床するのも夕方で、働くのは夜。まさに“陽に当たれない、当たらない人たち”なんです。監督が仰るにはそんな“声無き者たちの”逆襲の物語なんだとか。
なんというか、すごく官能的でした。直接的な意味で、思ったよりも。笑 だって始まってから五分もしないうちに、イライザが自慰行為をするシーンがありますから。笑 それに性と食を結びつけるように食事シーンがすごく多い。イライザやおじいちゃんがサンドイッチやパイを食べるシーン、ソ連の人たち(アメリカとソ連は科学技術を競い合っている最中なのでソ連も出てきます)も超高カロリーそうなバターケーキやらチキンやらを食べてるし。印象的だったのは、マイケル・シャノン演じる悪役の役人はいつもやすそうなキャンディーを頬張っていること。
ちょっとネタバレになるんですが、イライザと半魚人が性行為に及ぶことになる...というシーンがあるんですね。その時に画面に水滴が現れて流れ出して、ピタッと一つにくっつくんです。デル・トロ流のセックス表現というか受精の瞬間を見たというか、美しいシーンでした。
そういえばイライザはいつも仕事に向かう時に、バスの中で帽子をとって耳に当てているんですね。なんだか大きな法螺貝を聞いているみたいに。
でも半魚人と初体験を終えた後は、その仕草をしなかったんです。その仕草はどこかへ行ってしまいたいという気持ちの現れだったのか、愛する人ができたからそう思わなくなったのか、自分の心の声を聞こうとしていたのか...(私の英語力で読み取れない部分があったかも)
今年は始まったばかりですが自分の中で『シェイプ・オブ・ウォーター』は2018年ベスト10に入るかもしれないです。美しい純愛の物語であり、愛から生まれた芸術の物語であり、陽に当たらなかった者たちの救済の物語であり...ずっと湿っているかのような、ちょっとグロテスクでファンタジックな映像もまたデル・トロ監督の頭の中に入ったかのようで。映画の力を借りて、今まであげることのできなかった叫びが波となって押し寄せる。そんな作品でした。(劇中では10分に一回と言ってもいいぐらい、たくさん映画が流れているシーンがありました。) ぜひ2月で日本公開されたらご覧になってみてください!