【ネタバレ考察】映画『ザ・サークル』〜これからしばらくトム・ハンクスが信じられない〜
こんにちは!Moekaです。
今日はトム・ハンクスとエマ・ワトソンが共演したサスペンス映画
『ザ・サークル』について書きたいと思います。
こういうSNSを扱ったサスペンスは、ホラー映画より怖いです...笑 記事では「え、結局最後も怖くね?汗」と思った理由について、書いていきたいと思います。笑
(この記事は映画『ザ・サークル』のネタバレを含みます。)
『ザ・サークル』あらすじ
主人公のメイ(エマ・ワトソン)は、派遣会社で働くごく普通の女の子。しかしお父さんは病気を抱えており、家族のためにもなんとかして今の状況を打破しなきゃ...という思いに駆られています。
そんなある日メイは、超巨大SNS企業“サークル”に入社する事が決定!超綺麗な会社、画期的なシステムを誇るサークルでレベルアップするために、新入社員ながら大奮闘。メイもサークルが大好きな“シェアの文化(笑)”“繋がりを持つ大切さ(笑)”みたいなものにどんどん染まっていきます。
しかしある日メイは、友人以上にはならない幼馴染のマーサー(エラー・コルトレーン)が作った“鹿の角のシャンデリア”をSNSにアップしてしまい、マーサーを“鹿殺し”という、誹謗中傷の的にしてしまいます。(マーサーは殺してなんかいないのに!)
それからちょっと事件がありまして、メイはサークルの創始者ベイリー(トム・ハンクス)の目に止まり、新サービス“シーチェンジ”のモデルに抜擢されます。それは、超小型カメラにより“24時間自分の姿を晒す”事ができるというシステム。サークルは“隠すことは悪!秘密は悪!透明化こそ最高!”みたいなのを理念に掲げているんですね。
メイはこのシーチェンジによりあっという間にたくさんのフォロワーを世界中に持つことなり、“歴史に名を残す存在!”みたいな感じで大人気に。しかし家族とも疎遠になり、サークルを紹介してくれた友達のアニー(カレン・ギラン)との間にも確執が生まれてしまいます。
そしてそんな生活がちょっと経った頃、メイは新たに開発されたサービス“ソウルサーチ”の公開実験をサークル職員の前で挑むことになります。これは、世界中に仕掛けてある監視カメラを利用して、どんな人物でも約20分以内に見つける事ができる...というもの。(怖すぎだろ)
最初は子供を殺した女性を瞬時に探し出す事ができ、まあ成功。でもその次誰を探すか、ということになりサークル職員は「マーサーを探して!」っていうんですね。彼は悪人ではないし、こんな形で探したくはないとメイは拒むんですが、ベイリーたちに逆らえず彼を探すことになります。しかしすぐに見つかったマーサーは追っ手たちから逃げている途中、車で事故を起こして死んでしまうという悲劇が起こります。
落胆したメイはサークルが、様々な裏取引(みたいなの)をやっていることを知ります。メイはサークル職員たちの前でベイリーと右腕に“シーチェンジ”をつけることを強要、彼らのメールなどを晒し、サークルの闇を暴いたところで物語は終了...という話なのですが。
怖くならなかったら、やばいかも?
個人的に、このラストを「サークルの裏も暴いたし、まあよかったんじゃない?」って思ってしまったらそれはもう“SNSに侵食されている証拠”なんじゃないかな...?と思っています。だって、“サークルという会社の問題は解決したけれど、根本的な問題は解決されていないから”。
メイはマーサーが死んでしまってひどく落胆します。シーチェンジをはずし、実家に帰って休養するのですが、携帯を見て「メイ、大丈夫?」「あなたのせいじゃないわ!」っていうフォロワーからの励ましの言葉を見てちょっと安心するんですね。
それでこんなことを言います。「マーサーとちゃんともっと繋がっていたら...あのような目に合うこともなかっただろうし、彼は死ななかったはずだわ」
「私には世界中に友達がいるし、大丈夫よ」
「人と人が繋がりあう、サークルは新しいステップにいくのよ!」
...怖くないですか?笑
まずそもそも、“顔と顔を合わせたことのない人は友達なのか。”
マーサーと疎遠になってしまったのは、もちろん“それまで連絡を取らなかった=繋がっていなかった”というのはあるけれど
メイが鹿の角事件のあと、ちゃんと彼に会いに行き、心を込めて謝罪しなかったから。(マーサーは電話やメールではなく顔を合わせて話すことを好む描写が冒頭からありました) その“つながる手段”を、またSNSに求めようとしている。
結局、“SNS”を最後まで手放すことをやめないんですね。起こった問題も全部それらで解決しようとしていく。両親が「もうサークルには戻らないで」と言っても、それも聞かずに...
フォローとかフォロワーとか、直接会ったこともないのに、“友達”なんて言えないじゃないですか。電話やメールもいいけれど、ちゃんと会いに行って大事な人たちと時間を過ごすって大事じゃないですか。私は別にSNSに侵食されてない!これを使って新しいコミュニケーション方法を築いていくのよ!っていう感じのメイのラストにとっても恐ろしくなりました...
“カヤックのシーン”がキーワード
この映画でポイントとなっているシーンは、“メイがカヤックに乗っているところ”かと思います。
映画の冒頭でもメイは1人でカヤックに乗っています。何もない川でただカヤックを漕いで、自由の時間。途中で携帯が鳴りますが、ちらっと確認してまたポケットに戻します。
このカヤックのシーンは、“たくさんの人の情報が流れ込んでくる、コミュニケーションをとるSNSなどのメディアから離れて、自分だけの時間を過ごす”という意味の役割を果たしているのだと思うのですが。しかしラスト、カヤックに乗っているメイの頭上にドローンがやってきます。それに対し、「ハーイ」と微笑みかけるメイ...
1人の時間も誰かに見られている、誰かと繋がっているという。それでカメラはズームアウトし、世界中の人々の様々な瞬間をたくさん映し出して終わります。「この瞬間も誰かに監視されているかもよ?」といったメッセージを含んでいるみたいに。
1人だけの時間を過ごしたいと言っても、今は携帯がありますし、SNSがあります。家に1人でいてもTwitterを開けば、そこにはあらゆる人の情報が流れています。昔と違い誰かと簡単に繋がれる今、同時に人間関係はどんどん脆いものになっているんだろうなと改めて思わされました。
SNSに助けられる(すぐに情報をゲットできる、好きな俳優さんやアーティストのことを知ることができる、海外に住んでいる友達と連絡が取れる)こともたくさんありますが、当たり前ですが“節度”は大切ですね。映画『ザ・サークル』は“人と人がたくさんつながることはいいこと!”というのをメイに“いや、それ違くない?”と思わせることをせず、曖昧に終えていましたが、警鐘は胸に響きました...
そういえば、このサークルのCEOを演じたのがトム・ハンクス。ぱっと見カリスマの“先進的な考えを持ついい人”に見えるんですけど、その“いい人加減”が超怖い!笑 あのトム・ハンクスなのに!笑 今までの人道的な役が吹っ飛ぶほど「やだこのおじさん」と思いました。笑 すごい。笑
とまあこうやって“SNSに気をつけなきゃ”“SNSは全てじゃない”と思うし、書いているわけなのですが、それでも1日にTwitterやFilmarksとかは何回も見るし。自分では気づいていないところで、もっと依存しているのかも...気をつけよう。