Bande à pierrot

ティム・バートン、テネシー・ウィリアムズ、アレハンドロ・ホドロフスキー。

【つぶやき】“食虫植物系の方”が好きすぎる件について

こんにちは!Moekaです。

 

こんなタイトルですけれど、最初に書きたいのは澁澤龍彦先生の小説で大好きな作品のひとつ

短編小説『犬狼都市(キュノポリス)』についてです。笑

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『犬狼都市』が発行されたのは1962年のこと。澁澤先生が34歳?の時とかに執筆された作品ですね。

物語の主人公は18歳の娘、麗子。彼女の父親は魚の睡眠に関する研究の世界的権威であり、動物学者です。麗子は“珠男さん”という人と婚約しており、指輪も送られていますが、彼女には何よりも愛しているものがありました。それはアメリカ狼・コヨーテのオス、ファキイル。このファキイルは“断食僧”の意で、麗子は食べても食べても空腹の満たされることのない彼の姿をみて、この名前をつけたそうです。

麗子とファキイルはいつも一緒。本文にこんな節があります。「ファキイルを愛するというよりは、麗子の愛がファキイルなのであった。」そんな麗子がある日夢をみると、彼女は寒々しく美しい宝石の中にファキイルと一緒に入っていました。その中で彼と結ばれ(察してください)誇り高き犬狼貴族の子供を身ごもる...という幻想文学です。

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肌をあらわにした娘と毛皮を身に纏った狼、少女と猛々しい狼の組み合わせは何だか抗いがたい魅力に満ちていますよね。この『犬狼都市』は若くみずみずしく、そして自身も瞳に“宝石”をたたえた麗子と狼であるファキイルとの営みが不可思議に、幻想的に描かれていて、これを読んだときに一気に澁澤先生の虜になったことを覚えています。

たくさんの翻訳に携わり、エッセイや創作小説を執筆されている澁澤先生ですが、ご自身の小説を読むときはやっぱり「これから世にも奇妙な、ここでしかみれない舞台の開幕です」といった感じがします。笑 怪しい遊園地の奥にひっそりと建つ小屋で行われるステージみたいな... こんな感じの。笑

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で、タイトルの話なんですけれど、澁澤龍彦の本を読んでいるときに

“食虫植物みたいだな”って思ったんです。

食虫植物って、あの虫を食べちゃう植物。すごく綺麗なのに毒があるっていう、妖しくて魅惑的な植物ですよね。怪異、魔女、怪人、奇人、黒魔術、サディスト、マゾヒスト、性的倒錯、人形、澁澤先生の本を読んでいるときは怪しげなモノたちがコレクションされた迷路をすすんでいく感覚ですけれど、でもどんな角度からも光ってみえる宝石のようだなあと...でも踏み込んだら愛せるか、愛せないか。笑 

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ちょっと前に流行った、今でもまあ使われる“草食系男子”(女子にもつかったっけ...?)って、見た目がそんなにガツガツしてなくて、んで中身もガツガツしてない???男の子のこと?ですよね...?笑 見た目がそういうふうに見えなくても、“危険”をはらんでいたり“毒”を持っているからこそ、すごく魅力的なのに!!笑 中身もふわふわそよそよ〜...みたいだったら、何か...笑 いや、ヴァンパイアとかもあんなに美しいのに、関わったら危険じゃないですか。笑

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(写真は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のお耽美なブラッド・ピット様)

ね、秘密を知りすぎちゃいけないでしょ。吸血鬼だから。ステンドグラスとかもそうですよね、人じゃないけど。あんなに美しいけれどあまりにも繊細で少しもろくて、遠くから見ていたいような。澁澤先生も、見た目って色白でそんな“肉食だぜ!”とは見えないじゃないですか。笑 現代でいったら“草食っぽい”って分けられちゃうかもしれません、ルックスだけだったら。笑 でも信じられないほどの知識の量を備えていて、夢とうつつを行き来しているような、そんなお方ですよ...お会いしてみたいけれど、あのドラコニアの書斎はちょっと覗いてみたいような覗いてみたくないような...

 

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(あ、もしかして見た目草食でも中身はそうじゃないことを“ロールキャベツ系”っていうのか?笑)

 

まあすんごいそもそもの話、“◯◯系”ってカテゴライズすることは好きじゃありません(笑)澁澤先生を引き合いにだす話じゃなかったんですが、結局「見た目そうは見えなくても、ちょっと近づき難い何かをはらんでいるものって魅力的だよなあ」っていうわりとありきたりな話でした。笑 ほんとはこんなことを言いたいわけじゃなかった気が... とにかく!もし澁澤作品を読んでいない方で、これから読んでみようって思っている方は、この『犬狼都市(キュノポリス)』おすすめします。何かしびれるような刺激が走るはずなので!!ではでは:)