Bande à pierrot

ティム・バートン、テネシー・ウィリアムズ、アレハンドロ・ホドロフスキー。

町山智浩さんのトークショーに行ってきたよ!『(500)日のサマー』が“恋愛映画”じゃない理由を考える【ネタバレ】

こんにちは!Moekaです。

先日(2017年9月18日)、

町山智浩さんのトークショー町山智浩の映画サーチライト』ユーロライブに行ってきました!

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今回町山さんが解説してくださった映画は、(500)日のサマー』(2009)。ジョゼフ・ゴードン=レヴィットとゾーイー・デシャネル主演の映画です。「好きな映画は?」と聞かれてこの映画をあげる方も少なくないのではないでしょうか?私も大好きな映画のひとつです!

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町山さんの解説、とてもおもしろかった...この記事では映画(500)日のサマー』と関連のある映画、この映画はやっぱり“恋愛映画ではない”ということ、そして私が今回観て改めて感じたことなどについて触れていきたいと思います。

 

さてこの『(500)日のサマー』、だいたいどのレンタルショップでも“恋愛映画”のジャンルのところに置かれているかと思いますが、違うんですよね。それは映画の最初の最初にテロップが出ています。

 

「これはボーイ・ミーツ・ガールの物語だが、恋愛映画ではない。」

あんなにトムサマーのこと好き好き言ってたのに、違うのかよ!っていう。笑 この物語に大きな影響を与えている映画がウディ・アレン監督作品『アニー・ホール』と、マイク・ニコルズ監督によるニューシネマの傑作『卒業』です。作品内でもサマーとトムが一緒に『卒業』を観るシーンがありますね。あと私はフランス映画『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』も『(500)日のサマーとすごく似ていると今回思いました。

それは、『アニー・ホール』ではウディ・アレンダイアン・キートンによって、『ベティ・ブルー』ではゾルグがベティによって、そして(500)日のサマー』ではトムがサマーによって、自分の人生を歩むことができるようになったということ。

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こうしてみると、『アニー・ホール』のウディ・アレンとトムはファッションもすごく似てますね!ベストとかネクタイとかブラウンを基調にしたコーディネートとか...

このトムはカード制作会社に勤めてますけれど、実際には他の夢があります。それは“建築家になる”ということ。サマーはそれを知って、「すごくいいじゃない!素敵!」って言うわけです。このあたり、『ベティ・ブルー』のベティと似ていますよね。小説家になりたいゾルグに「あなた、どんどん作品を書くべきだわ!」って。彼女たちは彼らの本当にやりたいことを応援しているんです。すっごくいい女!笑 だけれどトムは途中までうじうじうじうじ....でもサマーにフられてから(直前からまた本は読んでいたかな?)建築家になる勉強を再開、再就職への道を進みはじめる。

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ゾルグのもとからも最後ベティはいなくなります。でもゾルグは自分の本当の人生(小説家になること)を見つけ、歩みはじめた。トムもサマーとの恋はうまくかなかったけれども、本当にやりたい道をちゃんと決めることができた。ウディ・アレンダイアン・キートンとの恋はうまくいかなかったけれど、あのような素晴らしい作品をうむ事ができた。3作品には“例えひとつのことがうまくいかなかったとしても、そのことから何か別のことが生まれる”“幸せの青い鳥によって成長する”という共通点があると思います。

 

そういえばサマーは青い洋服をよく着ていますけれど、ベティも『ベティ・ブルー』ですね!これはやっぱり“幸せの青い鳥”からきているのかしら。

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でも今回町山さんのトークショーでとくに「あ〜、なるほど!」って思ったのはやっぱり『卒業』との関係!

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『卒業』を一緒に観に行って、サマーはトムの隣で大泣き。そして泣いてるサマーに対して、トムは「ただの映画だよ」の一言。そりゃ「やばい...!こいつと一緒にいたらこの映画の中盤までのダスティン・ホフマンみたいに、ぼんやりさまようだけになってしまう...!てかこいつ、それにも気づいてねえ!」って思うと思います。笑 ここのシーンの他にトムとサマーが初めてベッドインするシーンとか、車を走らせているシーンとか『卒業』との類似点が多くあることに気付かされました。こことかね、もろに『卒業』と一緒!

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あともうひとつ、『(500)日のサマー』を観て思った事は、“人間、どちらか片方だけが影響される、ということはない”のだなあということです。サマーによってトムだけが成長したのではなくて、サマーもトムによって変わることができたんだなって。

 

トムは“運命は絶対ある!てか、運命とか恋はむこうからきてくれる!”っていう超ハッピーマインドの持ち主でした。笑 でもサマーへの失恋によって、“運命は向こうからきてくれるんじゃないんだ、自分から動かなきゃいけないんだ”っていうことを学びます。逆にサマーはもともと“いや私、運命とか愛とか信じてないの”っていうシニカルな女の子でした。でも最後の最後に、彼女は“愛”の存在を信じることができるようになります。サマーもトムとの経験を通して、ひとつ大人の女性へと成長したと思うんです。だから二人の恋はうまくいかなかったけれどお互いへの変化をもたらしたサマーとトムの関係は、きっとこれはこれで素敵なものだったんじゃないかなと。

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映画って何回も観て、初めてその作品の本当の意味への理解に近づけたりしますよね。今回改めて『(500)日のサマー』を観て、これがいち“恋愛映画”ではない理由を咀嚼することができて本当によかったです。や〜〜〜ダイアン・キートン、ベティ、サマー、こんな風にボーイフレンドに影響を与えることができる女の子って素敵ですね...町山さんの解説をお聞きすることができてよかった!(あ、トークショーの時に感想発言したんですけれど、その時に町山さんが「もうここで終わりにしちゃいましょうか(笑)」って言ってくださったのが密かにとても嬉しかったです。笑)私も映画の勉強もっともっともっとしていこうと思いました!